英語学習法
2024.04.28
意外と知らない!国別で見る英語の方言・訛り5つ|方言が生まれた背景も解説
[この記事でわかること]
英語の方言や訛りは、どのようなものがあるか気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では各国の方言の種類や成り立ちについて解説しています。英語学習で方言が気になる方や、必要な方はぜひ最後までご覧ください。
Contents
英語にも方言や訛りはある
英語は世界中で使用されているため、その国や土地に根付いた言葉として、方言や訛りがあります。
海外の方とビジネスをする際、相手の使う方言や訛りを理解していると「自分が使う言葉を日本人が理解してくれている」と、相手から受ける印象が良くなるなどのメリットがあります。
そのため、英語学習に余裕がある方は方言を覚えておくと良いでしょう。
英語で方言は「dialect」
英語で方言は「dialect」といいます。
「dialect」は英語の辞書で下記のように説明されています。
”a way of speaking typical of a particular group of people and especially of the natives or residents of a region
引用:https://www.merriam-webster.com/dictionary/accent”
和訳:特定のグループの人たち、とくにその土地で生まれた人や居住者で話される特有の言葉
Dialectの意味は、日本語の方言とほとんど同じですね。つまり方言とはその土地でしか使われない単語や言い回しなどを示します。意味は日本語と変わりません。
また同じ単語でも、標準語とは違う意味で使われる場合も方言になります。
英語で訛りは「accent」
英語で訛りは「accent」といいます。
「accent」を辞書で引くと、下記のように説明されています。
”a distinctive way of pronouncing a language, especially one associated with a particular country, area, or social class
引用:https://www.merriam-webster.com/dictionary/dialect”
和訳:特定の国、地域または階級による、言語の独特な発音方法
「dialect」は一定の国や地域のみで使われる独特な言い回しです。そして「accent」は同じ単語でも、発音が違うことを表します。
たとえば日本語の場合
- dialect :めんそーれ、めんこい、おおきになど
- accent:「雨」「橋」は東京と関西で発音が違うなど
そのため英語の会話で「dialect」が違うと通じない場面もあります。一方「accent」の場合は、英語のコミュニケーションにそれほど問題はありません。
あくまで発音が異なるだけなので、リスニングなどの基礎的な英会話力さえあれば、十分にコミュニケーションが取れます。
英語の方言は何種類ある?
英語を言語として使用している国は世界で約80ヶ国もあります。
それぞれの地域で使われている英語やアクセントに違いがあるため、膨大な方言の種類があります。
インターネット百科事典のWikipediaに、世界の方言リストが掲載されています
参考:List of dialects of English
大きくわけると、160種類ほどの方言があるようです。
研究者により諸説はありますが、日本語にも約16種類の方言があるといわれています。
日本だけでこれだけの方言があるのですから、英語の方言の場合であればまだ発見されていないものもあるかもしれません。
ではこれだけ膨大な種類の英語の方言は、どのように誕生したのでしょうか。次の章でその成り立ちについて詳しく解説します。
英語の標準語と方言の成り立ちについて
アメリカとイギリス、それぞれの国で標準とされる英語があります。
標準語と方言はどのように誕生したのかその背景を解説します。
- アメリカで標準語と方言が誕生した背景
- イギリスで標準語と方言が誕生した背景
それぞれ見ていきましょう。
アメリカで標準語と方言が誕生した背景
アメリカで標準とされている英語は、一番広い地域で用いられている中西部のアメリカ英語「General American」です。
全世界で放送されている「米国の大手ニュース専門ケーブルテレビCNN」などのニュースキャスターは、中西部出身者が多く在籍しています。そのためテレビで聞き慣れたGeneral Americanを、アメリカの標準語としています。
アメリカの英語は、1600年代にイギリスから渡った移民によって伝えられた言語と現地の言葉が融合してできたものです。もともとは、イギリス英語の方言のひとつとされていました。
イギリスから移住した人はアメリカのヴァージニア、マサチューセッツ、ニューハンプシャーなど13の地域で植民地を作り、その土地のアメリカ人が使っていた言葉を交えて語彙を増やしていきました。
移民の英語とその土地の言葉が混じるため、アメリカ英語の方言は移民たちが住んでいた場所に大きく関係します。
その後アメリカ独立戦争のころ、愛国者によってアメリカ式綴りや発音、文法をまとめた本が出版されたのをきっかけに現在のアメリカ英語となりました。
イギリスで標準語と方言が誕生した背景
イギリス英語には、 英国王室で用いられているRP (Received Pronunciation)のほかにスコットランド英語やウェールズ英語、北アイルランド英語があります。
これはイギリスが、イングランド、スコットランド、ウェールズと北アイルランドの4ヶ国の連合国家だからです。つまり、国の数だけ使われている言語があるわけです。
またそれぞれの国の中にも方言や訛りがあり、イングランド国内だと
- Cockney: ロンドン近郊
- Scouse: リバプール近郊
- Geordie: ニューカッスル近郊
など30種類以上の方言や訛りがあります。
その中のRPは、イングランドで使用される英語で、英国放送協会(BBC)のアナウンサーが話す英語のため、イギリスの標準語として認知されています。
しかしRPを話すのは、高等教育を受けた上層階級の人たちで、人口の3%にも満たないといわれています。
残りの97%の人の英語は、地域や階級により綴りや発音の違う方言になります。
国ごとに違う英語の方言と訛りの特徴5選
英語を話す主な国ごとの方言や訛りをご紹介します。
- アメリカ英語の方言と訛り
- イギリス英語の方言と訛り
- シンガポール英語の方言と訛り
- オーストラリア英語の方言と訛り
- その他の国の英語の方言と訛り
順番に見ていきましょう。
アメリカ英語の方言と訛り
アメリカには大きく東西南北4つの方言や訛りがあるといわれています。
以下はそれぞれの地域の、英語の特徴です。
アメリカ英語の方言の例
- バケツ「bucket」は「pail」、フライパン「frying-pan」は「spider」、「sick to the stomach(吐き気がする)」など北部でだけで使われている独特な方言がある
- 「Y’all(みんな)」は南部を代表する方言。
アメリカ英語の訛りの例
- 西海岸の英語は標準語とされますが、アメリカ英語の特徴である「r」の発音は舌をくるりと巻いて音を出す
- ニューヨークがある東海岸は、イギリス英語に表現が近くなるため、「r」の音も西海岸ほど舌を巻かない
- 南部では、【ai】と発音される音は【aa】となる
イギリス英語の方言と訛り
イギリス英語も、国や地方により方言や訛りがあります。
上記でも述べたようにイギリスは4つの国があり、それぞれの国に方言が存在します。
イギリス英語の方言の例
- スコットランド:「Yes」は「Aye」、「Lake」は「Loch」、「nice」は「bonnie」など
- 北アイルランド:「you」の複数形が「yous」
ウェールズ:文の最後に「mind」や「mind you」を付ける
イギリス英語の訛りの例
- コックニー訛りでは単語の頭の「h」の音が発音されない、「t」の音は弱く発音される
- ウェールズ地方の英語はイントネーションのアップダウンが激しく、音楽のように聞こえる
英語発祥の地とされるイギリスにも、多くの方言や訛りがありますね。
シンガポール英語の方言と訛り
シンガポールの英語は「Singlish(シングリッシュ)」と呼ばれます。民族にちなんだ方言や強い訛りがあります。
シンガポールは、中国系やマレー系、インド系が住む多民族国家です。家庭ではそれぞれの民族の言葉を話しますが、公用語は英語です。
そのため英語にそれぞれの民族の言葉が加わり、独特な方言や訛りになります。
シンガポール英語の方言の例
- 言葉を強調したいときや、柔らかくしたいとき、「OK, lah.」のように語尾に「lah」を付ける
- なんとなく不服だけれど同意するとき、「Yes,loh.」と「loh」を付ける
- 疑う気持ちを込めるとき、「easy meh?」など語尾に「meh」を付ける
そのほか、過去形を使わず「already」を付けて過去の意味にしてしまうこともよくあります。
例:「I eat already. (もう食べたよ)」
これらは中国語を英語に直訳したところからきています。
シンガポール英語の訛りの例
- 「r」を発音しないため、「car park」が「カーパー」に聞こえる
- 「think」を「ティンク」と発音する
方言や訛りの強いシンガポール英語ですが、英語力は世界でもトップクラスです。
オーストラリア英語の方言と訛り
オーストラリア英語はイギリスの植民地であった歴史から、基本はイギリス英語です。
しかし先住民のアボリジニが使用していた言語や、南ヨーロッパやアジアなどたくさんの国から移民が入ってきていることで、オーストラリア独特の方言や訛りがあります。
オーストラリアの方言の例
- 「Hello, friend.」と友達にあったときの挨拶「G’day mate.」
- 「How are you?」を「How ya going?」という
- 「Don’t worry.」を「No worries.」という
オーストラリアの訛りの例
- 「エ」や「エイ」と発音される「a」の音が「ア」や「アイ」に近くなる
- 「water」を「ウォラ」など単語の最後の「r」を発音しない
またオーストラリアでは単語も独特な短縮形で使われています。
- afternoon – arvo
- petro station – servo
- barbeque – barbie
- liquor shop – bottle-o
- Thank you – Ta
これらはほんの一部で、まだまだたくさんの短縮単語があります。これらも方言の一部といえるかもしれませんね。
その他の国の英語の方言と訛り
ヨーロッパや東南アジアなど、その他の国の方言や訛りについて代表的なものをご紹介します。
- フランス:「h」の音を発音しない
- ドイツ:「th」を「s」「z」で発音する
- スペイン:「r」「l」をそのまま「ル」で発音する
- フィリピン:「f」の音を「p」に近く発音する
- タイ:「sh」を「ch」と発音する
- マレーシア:シンガポール英語とほぼ同じ
- 中国:「v」を「w」で発音する
- 韓国:「v」「f」を「p」に近い音で発音する
上記は方言というより訛りになります。
単語やフレーズはアメリカ英語やイギリス英語の標準語から使っていても、自国の言語にない音をそれに近い音に置き換えるため訛りとなります。
日本人が同じようなカタカナ英語になるのも、英語にしかない音を日本語の音に置き換えているからですね。
まとめ
本記事では英語の標準語と方言や、国別の方言や訛りの例を解説しました。
ここで紹介できなかった国以外にも、言語に方言や訛りはあります。イギリス英語とアメリカ英語を比べても、英語の綴りが違ったり、発音が違ったりするので、標準語と方言の区別はカンタンにできません。
英語を学習する際「どこの英語を習うか」「だれから英語を習うか」は、自分が行きたい国や地域によって変わってきます。
また、ビジネスでは、できるだけ多くの人とコミュニケーションが取れるよう、柔軟に対応できるぐらいの英語力を身につけたいですね。
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