英語の語源学習法とは?覚えれば語彙がどんどん増える語源も紹介

英単語を覚えるために、単語カードを作ってみたりイラストと一緒に覚えたりと、みなさんいろいろ工夫されていると思います。

それでも、なかなか語彙を増やせず焦っている方も多いのではないでしょうか。

そこでオススメなのが英単語を構成するパーツ(語源)ごとに分けて単語を覚える方法です。

英単語を語源から覚えることで、知らない単語でも意味を推測できたり、同じグループの単語をまとめて覚えられたりします。

本記事では、語源学習で参考になる本や辞典、初心者が最初に覚えたい語源についてまとめました。

ぜひ語彙力の向上に役立ててください。

英語を語源から勉強するメリット

英語を語源から勉強するメリット

語源を学ぶのはなかなか初心者には続かないかもしれません。

そもそも語彙力がない状態では語源に興味を持ちにくく、勉強しても飽きてしまう可能性が高いからです。

最初から語源を勉強しなくてもいいですが、語源を知っていれば、知らない単語に出会っても、意味の予測がしやすくなるのは確かです。

そのため、初心者でもできる学習法についてまとめていきます。

英語を語源から勉強するメリットは以下の通りです。

  • 英単語が覚えやすくなる
  • 知識がつながり面白いと感じる
  • 知らない単語でも語源から意味が推測できる

順番に見ていきましょう。

英単語が覚えやすくなる

英単語も漢字と同じく、いくつかのパーツからできています。

たとえば漢字であれば、大きく分けて部首とそれ以外で文字は構成されています。

もし漢字自体を読めなくても、部首に「さんずい」がついていると水に関係する言葉などと推測できますよね。

部首の意味を知っていれば、漢字を覚えやすくなるのと同じで、語源を知っていれば接頭語や接尾語などから英単語を推測しやすくなります。

結果として、語彙数をケタ違いに増やせるでしょう。

何の脈絡もなく覚えるよりも、語源が手がかりになってくれるので効率よく語彙を増やしていけますよ。

実際に多くの英単語を覚えている上級者は、英単語の意味を正確に覚えているわけではなく、語源で大まかな意味を掴んでいる場合も多いです。

また、語源を知っていることで、忘れかけていた単語に出会った時も意味を思い出しやすくなります。

一見遠回りに思える語源学習ですが、語源を知っていることで1万語レベルの語彙が身につくとも言われています。

1万語というと、英字新聞や雑誌を不自由なく読める程度の語数です。

つまり、語源学習を続ければネイティブレベルの語彙力を手に入れられるというわけです。

語源の活用を含む英単語の効率的な覚え方については、下記記事も参考にしてみてください。

参考記事:英単語の覚え方と考え方:5つのコツと6つのステップ

知識がつながり面白いと感じる

単語の暗記と言えば、単語帳や暗記カード、スマホのアプリなどを使っている方が多いのではないでしょうか。

単語をひとつずつ覚えていく単調な作業は、面白みがなく退屈な作業だったりしますよね。

丸暗記で英単語を覚えるのは、電話番号をやみくもに覚えるようなもの。

なかなか記憶に残りにくく、必要な時に思い出すのも難しいです。

語源の勉強をすることで、一つひとつを新しい単語として暗記する作業から抜け出せます。

同じ語源の単語を芋づる式に覚えられたり、知らない単語も意味を推測できるので単調な暗記作業より効率良く楽しんで行なえます。

知らない単語でも語源から意味が推測できる

たくさん単語を覚えても、新しい文章を読んだり会話をしたりする中で、知らない単語に出会い続けることでしょう。

語源を知っていれば、知らない単語でもある程度の意味を予測できます。

たとえば、「telescope」「telephone」「telework」「television」に共通する接頭語「tele」は、「遠くの」「遠方の」という意味があります。

語源の知識があれば、知らない単語に出会った時に予想をつけやすいです。

語源で英語を学ぶ際の注意点

語源で英語を学ぶ際の注意点

英語の語源を学習する際の注意点を2つ紹介します。

  • 語彙力が少なすぎると効率が悪い
  • インプットに偏りがちになる

順番に見ていきましょう。

語彙力が少なすぎると効率が悪い

語源学習は高校英語以上の専門的な単語など、比較的難しい単語を覚えるときに力を発揮します。

中学レベル程度の単語であれば、語源よりも単語のイメージから丸暗記してしまった方が早いのです。

また、語彙力が少なすぎる段階で語源を学んでも、逆に覚えることが増えるだけになってしまい効率が悪いです。

たとえば、語頭に「ex」がつく単語をひとつも知らない段階で『接頭語「ex」は「外に」という語源である』ことを学んでも大きなメリットは得られません。

語頭に「ex」「in」「sub」「re」などがつく単語がいくつかあると知っているからこそ、語源を学ぶことで関連語の意味が定着しやすくなります。

新しい関連語に出会った際も、すでに知っている語彙や語源と関連づけて覚えられるので、効率よくボキャブラリーを増やせるようになります。

インプットに偏りがちになる

英語の語源学習は語彙力を高めるのに効果的ですが、それだけに集中しすぎるのは注意が必要です。

なぜなら、せっかく覚えた語彙も実際に使わなければやがて忘れてしまうからです。

語源を使って覚えた英単語は実際に使ってみることで定着が図れます。

自分で使ってみると、その単語の

  • 正しい発音
  • 適切なシチュエーション
  • 組み合わせるべき関連語(前置詞・副詞など)

がわかり、単語への理解が深まります。

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英語学習で覚えるべき語源一覧表

英語学習で覚えるべき語源一覧表

語源には、接尾語・接頭語・語根と3つのパーツがあります。

英単語の意味の中心となるのが「語根」で、語根の前に付くのが「接頭語」、後ろにつくのが「接尾語」です。

ここでは、初心者が最初に覚えたい接尾語・接頭語・語根を紹介します。

下記は最初に覚えたい接尾語・接頭語・語根の一覧表です。

【最初に覚えたい接尾語(接尾辞)】

語源 意味 単語例
ly ~のような carefully
ment こと amusement
able ~できる available
ful ~に満ちた helpful

【最初に覚えるべき接頭語】

語源 意味 単語例
ex 外に export
in 中に import
sur 上に surplus
sub 下に submarine
re 再び remind

【最初に覚えるべき語根】

語源 意味 単語例
form 形作る reform
spect 見る inspect
port 運ぶ portable
ject 投げる project

それでは、ひとつずつ解説していきますね。

 

最初に覚えたい接尾語(接尾辞)

まずは、初心者が最初に覚えたい接尾語を4つ紹介します。

  • 「~のような」-ly
  • 「こと」-ment
  • 「~できる」-able
  • 「~に満ちた」-ful

順番に見ていきましょう。

「~のような」-ly

形容詞の語尾について副詞を作ることで有名な接尾語「ly」。

たまに名詞の語尾について形容詞をつくることもありますね。

「ly」には、「~のような」という意味があります。

たとえば、「carefully」。

「careful(注意に満ちた)」+「ly(~のような)」で「注意深く」という意味の副詞になります。

名詞につく例としては、「friend(友だち)」+「ly(~のような)」で「friendly(友だちのような)」つまり、「親しみやすい」という意味の形容詞になります。

「こと」-ment

動詞の語尾につけると名詞化する「ment」。

「ment」には「こと」という意味があります。

たとえば、「agreement」。

「agree(同意する)」+「ment(こと)」で「同意」という意味の名詞になります。

他にも接尾語に「ment」を持つ単語には以下のようなものがあります。

  • amusement(娯楽)
  • announcement(声明)
  • appointment(約束)

逆に「ment」を取れば動詞になるので、一気に語彙を増やせますね。

「~できる」-able

接尾語「-able」には「~できる」という意味があります。

たとえば「available」は「avail(利用する)」+「able(~できる)」で「利用できる」という意味の形容詞になります。

他に「-able」がつく英単語の例は下記のとおりです。

  • reasonable(理にかなっている)
  • acceptable(受け入れられる)
  • changeable(変えられる)
  • reversible(逆にできる)

また、「-able」の場合は接頭語によっては「~できない」という意味になる場合もあるので覚えておきましょう。

「~できない」という意味になる英単語の例

  • impossible(不可能な)
  • unbelievable(信じられない)

「~に満ちた」-ful

接尾語「-ful」には「~に満ちた」という意味があります。

たとえば「helpful」は「help(助ける)」+「ful(~に満ちた)」で「(人が)役に立つ」という意味の形容詞になります。

ちなみに、似たような例で「useful」という単語がありますが、こちらは「(物が)役に立つ」という意味になるので、使い分けには注意しましょう。

他に「-ful」がつく英単語は下記のようなものがあります。

  • fruitful(豊かな)
  • grateful(素晴らしい)
  • respectful(敬意を表する)
  • thoughtful(思慮深い)

接尾語「-ful」がつく言葉はポジティブな意味の単語が多いですが、中には「dreadful(恐怖に満ちた=恐ろしい)」のようなネガティブな単語もあります。

また、『語末に「-ful」がついたら形容詞』など、接尾辞を参考にして単語の品詞を判断することも可能です。

紹介した接尾辞以外には『「-ion(こと)」=名詞』『「-ize(~する)」=動詞』などが挙げられます。

最初に覚えたい接頭語

次に初心者が最初に覚えたい接頭語を5つ紹介します。

  • 「外に」ex
  • 「中に」in
  • 「上に」sur
  • 「下に」sub
  • 「再び」re

順番に見ていきましょう。

「外に」ex

接頭語「ex」には「外に」という意味があります。

たとえば、「export」。

ex「外に」+port「運ぶ」で「輸出」という意味になります。

他にも接頭語に「ex」をもつ単語には以下のようなものがあります。

  • exit(出口)
  • extension(拡張、エクステ)
  • expect(期待する)
  • extraordinary(並外れた)

「中に」in

「中に」という前置詞として覚えている人も多い「in」。

「in」を接頭語に持つ単語は多くあります。

たとえば、「import」。

「in(中に)」+「port(運ぶ)」で「輸入する」という意味になります。

他にも接頭語に「in」をもつ単語には以下のようなものがあります。

  • instractor(インストラクター)
  • indoor(インドア)
  • install(インストール)
  • impress(印象付ける)

日本語でもよく使う表現が多いですね。

深く意味を考えずに使っている身近な言葉も、語源を考えれば「なるほど!」と納得できるので面白いですよ。

「上に」sur

接頭語「sur」は「上に・超えて」という意味があります。

たとえば「surplus」は「sur(上に・超えて)」+「plus(加えた)」で「過剰」という意味になります。

他に「sur」がつく英単語の例は下記のとおりです。

  • surprise(驚かす)
  • survive(生き残る)
  • surcharge(追加金)
  • surround(取り囲む)

「surround」の意味は「取り囲む」なので、やや「上に・超えて」という意味からは遠く感じるかもしれません。

そんな時は、「sur(上に・超えて)」+「unda(波)」=「水浸しにする」⇒「取り囲む」のように成り立ちを詳しく知ることで、より意味を覚えやすくなります。

「下に」sub

接頭語「sub」は「下に」という意味があり、多くの単語にみられる接頭語です。

たとえば「submarine」は「sub(下に)」+「marine(海)」で「潜水艦」という意味になります。

「sub」の意味が「下に」であることを知っていると、「submarine」=「潜水艦」であるのが納得できますね。

他にも

  • subconscious(潜在的な)
  • submit(服従する)
  • subway(地下鉄)
  • subsidy(補助金)

などの単語で「sub」が使われています。

「再び」re

「re」は「再び」という意味がある接頭語です。

「re(再び)」は日本語でもかなり定着しているので、比較的イメージしやすいかもしれません。

たとえば「remind」は「re(再び)」+「mind(心)」で「思い出す」という意味になります。

他にも下記のような英単語の例があります。

  • remember(覚えている)
  • restart(再開する)
  • restore(回復する)
  • reply(返信する)
  • reconfirm(再確認する)
  • refund(返金する)

このように接頭語を知っていれば、知らない単語もある程度意味を予測できるようになり、単語を暗記する際のヒントになります。

最初に覚えたい語根

最初に覚えたい語根は下記のとおりです。

  • 「形作る」form
  • 「見る」spect
  • 「運ぶ」port
  • 「投げる」ject

ひとつずつ見ていきましょう。

「形作る」form

語根「form」には「形作る」という意味があります。

たとえば「reform」は「re(再び)」+「form(形作る)」で「作り直す」という意味です。

他にも

  • inform(知らせる)
  • formal(正式に)
  • uniform(制服)
  • perform(演じる)
  • conform(従う)

などが例として挙げられます。

語根を覚える際は、「語根(form)」+「覚えやすい代表例1つ(reform)」をセットで覚えていくのがオススメです。

「見る」spect

語根「spect」には「見る」という意味があります。

たとえば「inspect」は「in(中)」+「spect(見る)」で「調査する」という意味です。

他にも下記のような英単語に「spect」が使われています。

  • spectacle(光景)
  • respect(尊敬)
  • aspect(見解)
  • prospect(見込み)

また、「spectacle(光景)」⇒「spector(観客)」「spectate(観戦する)」など接尾語を変えるだけで別の意味・品詞になる単語も多いので、芋づる式にさまざまな単語を覚えることが可能です。

「運ぶ」port

語根「port」には「運ぶ」という意味があります。

たとえば「portable」は「port(運ぶ)」+「able(~できる)」で「持ち運び可能な」という意味になります。

他にも

  • transport(輸送する)
  • report(伝える)
  • deport(離れる)
  • airport(空港)
  • teleport(転送する)

などの関連語があります。

「投げる」ject

語根「ject」には「投げる」という意味があります。

たとえば「project」は「pro(前に)」+「ject(投げる)」で「計画する」という意味になります。

下記はその他の関連語です。

  • object(目的)
  • reject(拒否する)
  • inject(注射する)
  • subject(題目)

語源を学ぶことで、多くの英単語は「接頭語」「語根」「接尾語」を組み合わせてできていることがわかりますね。

英語の語源を学ぶのにオススメの本・辞典

英語の語源を学ぶのにオススメの本・辞典

英語を語源から勉強できる辞典や参考書は以下の通りです。

  • 中学レベルの英語の語源をイラスト付きで解説、約500のイディオムを掲載した「英語イディオム語源辞典」
  • 重要単語を語源に沿って分解し、語源の知識と語彙をイラストを見ながら身につけていける「英単語の語源図鑑」
  • 中学レベルの誰もが知っている単語を構成する41個の接頭辞と126個の語根を、イメージが膨らむ楽しいイラストとともに解説した「イラストでわかる 中学英語の語源事典」

初心者の場合、上記のようなイラスト付きの本の方がイメージしやすいと思います。

英語の語源についてよくある質問

英語の語源についてよくある質問

英語の語源についてよくある質問は以下の通りです。

  • 英語初級者でも語源学習はできる?
  • 英語の語源学習に向いている人は?
  • 英語の語源学習で気をつけることは?
  • 英語の語源はラテン語が由来?

順番に見ていきましょう。

英語初級者でも語源学習はできる? 

語源学習はボキャブラリーを増やすのに有効ですが、中学レベル程度の単語をマスターできていない人には難しいかもしれません。

語源学習は高校英語以上の専門的な単語など、比較的難しい単語を覚えるときに力を発揮します。

中学レベル程度の単語であれば、語源よりも単語のイメージから丸暗記してしまった方が早いのです。

基礎を学んだうえで、さらに語彙を増やしたいときに語源学習は有効です。

英語の語源学習に向いている人は? 

暗記学習に一生懸命取り組んでいる人ほど、単調な暗記作業に飽きていることでしょう。

語源学習はいつもの学習とは違った他の方法を試してみたい人にオススメです。

また、少数派かとは思いますがゲルマン語やラテン語の知識がある人、興味のある人にも向いています。

英語の語源の多くは、ゲルマン語やラテン語からきているからです。

もし、これらの言語の知識があれば労力をかけずに楽しく語彙を増やせます。

英語の語源学習で気をつけることは? 

語源を知っていることは、知らない単語を推測するヒントになったり、同じグループの単語をまとめて覚えられたりといったメリットがあります。

しかし、語源だけでは単語の意味を正確に理解できないことが多いでしょう。

語源で意味を推測するだけでなく、正確な意味も調べて知っておくことが大切です。

あくまでも語源は、単語の意味を推測する手がかりとして位置づけておきましょう。

英語の語源はラテン語が由来?

英語はもともとドイツ語やオランダ語などと同じゲルマン語由来の言語です。

ですが、英単語にはラテン語やフランス語由来の単語も多く混ざっています。

歴史的な背景として、1066年のノルマン・コンクエストにより、フランス北西部ノルマンディー地方出身のギヨームがウィリアム王としてイギリス王に即位したことが関係しています。

ノルマン・コンクエスト以降、長きに渡りイギリスの支配者層がラテン語由来のフランス語を話していました。

その影響で、現代英語にはゲルマン語・ラテン語・フランス語それぞれの由来をもつ英単語が混ざっているのです。

英語の語源を知ると語彙力の幅が広がる

英語の語源を知ると語彙力の幅が広がる

英語の語源を知っていると、知らない単語でも意味が推測できたり、同じグループの単語をまとめて覚えられるので飛躍的に語彙力が伸ばせます。

ただし、中学レベルの基本的な単語は、語源よりもイメージで捉えた方が効率がいいです。

そのうえで、高校以上の英単語やビジネスで使う専門的な単語を覚えたい場合は、語源学習に取り組んでみてください。

  • 英語学習法

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